一般的にファスナーと聞いて思い浮かぶのは、ジッパーやチャックとも呼ばれる種類でしょう。しかし、実はファスナーには3種類あり、一般的に思い浮かぶのは線ファスナーと呼ばれるものです。
今回の記事では、3種類のファスナーについて詳しく解説します。ハンドメイド作品を作る機会が増え、ファスナーについてさらに詳しくなりたい方に役立つ情報です。ぜひ参考にしてください。
目次
実はファスナーには3種類ある
ファスナーと聞いて、一般的に思い浮かべるのは「線ファスナー」と呼ばれる種類でしょう。実際には、ファスナーには「点ファスナー」「面ファスナー」を含め、3種類あります。「点ファスナー」「面ファスナー」は商品名で呼ばれるケースが多いため、ファスナーの1種として認識していない方が多いのです。
ファスナーの種類やそれぞれの特徴を理解すると、作りたい作品に合わせて最適なものを選べるようになるでしょう。
①線ファスナー|幅広い分野で使用
線ファスナーにはさまざまな種類があり、日本では「チャック」とも呼ばれます。衣類だけでなく、バッグ・宇宙服・ロケット・車のシート・トランクなど、活用される分野は多様です。
仕組みと種類
線ファスナーは「エレメント」と呼ばれる噛み合わせ部分、「スライダー」と呼ばれる手で動かす部分、「テープ」と呼ばれる布の部分など、複数のパーツが組み合わさってできています。素材によって以下の3種類に分かれます。
メタルファスナー | ・エレメントが金属製 | |
---|---|---|
コイルファスナー | ・柔軟性があり、加工しやすい | |
樹脂射出ファスナー | ・エレメントをテープに射出成型したもの | ・軽く、色の種類が豊富 |
同じ種類のなかでも、サイズや色などバリエーションが豊富です。用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
選び方
線ファスナーを選ぶ際のポイントは以下の3点です。- デザイン
- どこに使用するか
- どのような生地に使用するか
線ファスナーは目立たせたくないのか、ワンポイントにしたいかなど、作りたいものに合わせてデザインを選びます。また、どこに使用するかによって選ぶ機能性が異なります。
例として、ロック機能の有無で考えてみましょう。カバンに使うなら、開閉しやすいようロック機能がないものが適しています。しかし、ズボンなどに使う場合は、動いていても下がらないようロック機能があるものを選びます。
また、使用する生地との相性も考慮すべきポイントです。伸縮性のある生地には、テープやエレメントにも伸縮性が付与されたものを選びましょう。薄くて張りのない生地の場合は、軽いファスナーが適しています。
②点ファスナー|代表的なドット釦
点ファスナーは、ドット釦など点で留めるタイプのものです。ボルト、釘、ナットなども含まれるそうです。手芸用品では、スナップボタンも点ファスナーに含まれます。
仕組みや選び方を解説します。
仕組みと種類
ドット釦は「打ち付けスナップ」「機械付けスナップ」とも呼ばれる点ファスナーです。ボタンホールが不要で、2つの留め具を合わせて固定します。基本的に打ち機と呼ばれる機械が必要ですが、なかには金づちで取り付けられるものもあります。スナップボタンは、2つの留め具を縫い付けるタイプが一般的です。なかには専用の道具が必要なものもあります。穴を空けるだけで付けられる「イージースナップボタン」と呼ばれる製品もあります。
どちらも、金属製・プラスチック製の2種類が中心です。
選び方
ドット釦は、生地と使用箇所に合わせて選びます。生地の強度が足りないと、破れる可能性があるため注意が必要です。また、ドット釦を見せたくない場所用に「隠しドットボタン」と呼ばれる製品もあります。スナップボタンは、サイズが大きいほどしっかり留まる一方、布が引っ張られて痛みやすくなります。薄手の布には、小さめを選ぶと安心です。
ドット釦・スナップボタンともに、デザインが幅広いため、目的に合わせて選びましょう。
③面ファスナー|シールやアイロン接着タイプもある!
面ファスナーは、2種類のテープを使って留める製品です。線ファスナーや点ファスナーのように金属製のものはなく、化繊が中心です。
詳しい特徴や選び方を解説します。
仕組みと種類
面ファスナーは、片面に鉤のような細かなフック、もう片面にループ(輪)が並んでおり、引っ掛けて留めます。同じ面にフックとループが並び、1面が2つの働きをする製品や、粘着力が強くはずれにくい製品もあります。面ファスナーは、フック面とループ面を対にして使います。チクチクと硬いフック面がオス(凸)、柔らかいループ面がメス(凹)と呼ばれ、下になる布地にメス(凹)を付け、かぶせになる布地にオス(凸)をつけるのが基本のつけ方です。
線ファスナーのようにパーツが破損する心配がありません。反面、化繊が使われているため熱に弱く、アイロンなどが当たると変形し、粘着力が弱くなります。ほかに、糸くずやホコリが詰まっても粘着力が落ちます。
主に、シールで貼りつけられるタイプ、アイロンで接着するタイプ、縫い付けるタイプの3種類です。
選び方
シールタイプは簡単に接着できるため、裁縫が苦手・なじみがない方に向いています。反面、強度が弱いため、繰り返し使用していると剥がれてきます。アイロン接着タイプも裁縫が不要ですが、シールタイプよりは強度が高い製品です。しかし、繰り返し使用していれば剥がれてくる可能性は高いです。
縫い付けるタイプは手間はかかるものの、強度が高く、繰り返し使用する場合は安心です。
使用する繊維によって肌触りが異なるため、赤ちゃんや肌が弱い方が触れる場所には、柔らかいものを選ぶとよいでしょう。また、毛足が長い方が接着力が強くなります。
3種類のファスナー!おすすめの使い方
ここまでに紹介したそれぞれの仕組みや特徴から、どのような作品で使うとよいかを紹介します。
線ファスナーは衣服のほか、バッグ・ポーチ・インテリア雑貨など幅広く使えます。厚手の生地に使うなら、金属ファスナーがおすすめです。反対に、薄い生地のワンピースやスカートには、軽いコイルファスナーが向いているでしょう。
点ファスナーも、衣類・バッグ・ポーチ・インテリア雑貨などに幅広く使えます。線ファスナーに比べて縫い付け方が簡単で、初心者でも扱いやすいといえるでしょう。ボタンホールを縫う自信がない方にもおすすめです。
面ファスナーも、初心者が扱いやすい製品です。簡単に開け閉めできるので、お子さま用のカバンや小物などに向いています。しかし、やや強度が弱いため繰り返し開け閉めするバッグやポーチなどに使用する場合は、しっかりと縫い付けた方が安心です。
どのファスナーがいいか選ぶのが難しい時は、手芸専門店などの店員さんに相談してください。作品に合わせた製品を教えてくれるでしょう。
ファスナーの種類と特徴を知り作品に合わせて選びましょう
ファスナーには線ファスナー・点ファスナー・面ファスナーの3種類があり、それぞれ特徴が異なります。使用する場所によって最適な製品が変わるため、それぞれの特徴を踏まえたうえで選ぶとよいでしょう。
同じ種類のファスナーでも、バリエーションはさまざまです。手芸専門店などで、実際に見比べてみるとおもしろいですよ。作品に合わせて、ぴったりなデザイン・色・サイズを選んでください。
Q&A
Q.ファスナーにはどのような種類がありますか?
ファスナーには、線ファスナー・点ファスナー・面ファスナーの3種類があります。一般的にファスナーと聞いて思い浮かべるのは、線ファスナーでしょう。
Q.ファスナーはどのように選べばいいですか?
A.ファスナーは種類ごとに特徴が異なり、作品によって最適なものが変わってきます。作りたい物に合わせて、デザイン・色・サイズを選んでみましょう。